2010年2月12日金曜日

ナイジェリア副大統領がついに大統領代行に

数年来の健康問題を抱えていたナイジェリアのヤラドゥア大統領は、昨年11月についに倒れてしまい、治療のためにサウジアラビアに運ばれたっきりそのままずっと帰って来ていません。長期にわたる大統領不在により権力の空白が生まれてしまい、ナイジェリアはかなり混乱していました。

野党勢力らを中心に副大統領のグッドラック・ジョナサン氏(何度聞いてもすごい名前だ)に権限を譲れという主張が出てきていましたが、グッドラック・ジョナサンをはじめとする内閣は、長らくこの主張を採用しませんでした。しかし、ここにきてついに、グッドラック・ジョナサン副大統領が大統領代行としての任につくことになった模様です。

これについて、さまざまな報道機関から各種報道がなされています。Economistのオンラインサイトでも、まとまった記事が出ました。(タイトルが副大統領の名前とかけてありますね。やっぱり、すごい名前なんですね。)

Good luck, Jonathan

大統領代行となったグッドラック・ジョナサン氏ですが、上記の記事によれば、なかなかに多くの課題を抱えているようです。

まず、そもそもこうした事態に前例がなく、法的にどこまでの正当性があるのかがはっきりしないという面があるようです。加えて、ナイジェリアは南北で大きく社会が分断されており、南北双方から順に大統領を出してきた経緯から、果たして次に控える大統領選挙はどうなるのかという疑念があります。さらに、個別の政治問題も発生しています。記事中では、ナイジェリア南部の武装勢力が昨年に出していた停戦宣言を破棄したという話も紹介されています。

いずれにせよ、このアフリカの地域大国は、大きな憂いを抱えた巨人であるようです。困難な舵取りになりそうですが、グッドラック・ジョナサン大統領代行の政治手腕が優れていることを期待しましょう。

2010年2月10日水曜日

強権を強めるスリランカ大統領

先月下旬の大統領選挙後、対立候補サイドへあからさまな圧力を加え続けているスリランカのラジャパクサ大統領ですが、ついに、対立候補だったフォンセカ氏を逮捕してしまいました。そして、この勢いのまま、議会でも圧倒的多数を取ろうと目論んでいるようです。

Sri Lanka President Rajapaksa dissolves parliament

上記の記事によれば、早期の議会選挙を求めるラジャパクサ大統領によりすでに議会は解散され、規定に基づき4月頭に議会選挙が行われる見通しとのことです。

なお、先日逮捕されたフォンセカ氏は今も拘束されており、妻のアノマ女史は「逮捕以来、夫とは会わせてもらえない」と述べています。しかし一方、それについて聞かれた軍当局の担当者は、フォンセカ氏は家族との面会も許可されているし法的援助も受けることができると答えています。まぁ、いくらそう言われても、事の経緯を考えればちょっと信じられません。

なかなかハードな状況が続いているようですが、対抗する野党勢力もいまいち力を結集するということができていないようで、国全体としては、ラジャパクサ大統領支持という形で進んでいく模様。世界全体を見渡すとこういう国は五万とあるといえばその通りですが、とはいえ、こうやって具体的な状況の記事を目にすると、嘆息せざるをえません。

2010年2月3日水曜日

コンコルド墜落事故に関する初の裁判がフランスで始まる

2000年7月、超音速旅客機コンコルドが離陸直後に炎上しそのまま墜落、乗員と乗客の109名に加え、墜落場所にいて巻き添えになった4名を合わせた113名もの死者を出す大惨事が起きました。当時、事故のニュースは世界中に流れ、大きな関心を呼びました。

そして最近、この事故に関する裁判がフランスで始まるとのニュースが流れました。

Concorde crash manslaughter trial begins in France

あれからもう10年近くもたったのですね。事故発生当初は、事故原因についていろいろな憶測が飛び交い、コンコルドの安全性に対する疑念の声も上がったりしたのですが、その後の調査でおおよそ原因が明らかになりました。

公式な調査結果によれば、墜落したコンコルドと同じ滑走路から直前に飛び立ったコンチネンタル社のD-10の機体から、43cmほどの長さの金属片(棒?)が剥がれ落ちたのがそもそもの発端とのこと。それに気づかないままコンコルドは離陸しようとし、運悪くその金属片を踏んでしまってタイヤが破裂、その破片が燃料タンクを直撃して破損し引火、この悲劇に繋がったと結論付けました。そうだとすると、事故の主因はコンコルドではなくコンチネンタル社のD-10ということになります。

この墜落事故により(少なくとも事故直後は)コンコルドの安全性に疑念が持たれてしまいました。もともと採算が悪かったのに加え、その後に起きた911同時多発テロによる国際的な航空不況も重なり、世界唯一の超音速旅客機コンコルドは2003年にその運航を停止してしまいます。

上記の記事によれば、今回の裁判では、コンチネンタル社の整備エンジニア2人に加え、コンコルドの元技術責任者2人と航空局のスタッフが過失致死の罪に問われているそうです。ちなみに、コンチネンタル社は破片を踏んでタイヤが破裂したのが原因という見方を否定しており、タイヤの破裂の前に既に燃料タンクから火が上がっていたと主張しているとのこと。また、コンチネンタル社のエンジニアを含めて全員が罪を否認しているので、裁判は激しいものになるかもしれません。なお、遺族の大半とは示談が成立しているようで、裁判に出席する遺族は一部に限られるようです。

いずれにせよ、100名以上の死者を出す悲劇となったこの事故について、亡くなられた方のご冥福をあらためてお祈りするとともに、さらに真実が明らかにされることを望みます。

2010年2月1日月曜日

行方不明のスリランカのジャーナリストの妻が夫の解放を訴える

先月末に大統領選が行われ、現職大統領のラジャパクサ氏の続投が決まったスリランカですが、その陰で、きな臭い話がもろもろありました。

1週間ほど前、ウェブサイト lankaenews.com で対立候補のフォンセカ氏を擁護する記事を書いていたジャーナリストが、謎の失踪をとげました。土曜日の朝に家を離れた後、夕方頃に同僚に電話をしたのを最後に行方が分からなくなったようです。その電話は、突然切れたと言われています。

そのジャーナリストの妻が、夫の解放を訴えているという記事がでました。

[BBC News] Wife pleads for missing Sri Lanka journalist

上記の記事によれば、スリランカ政府は、大統領選後にかなり強硬な態度をとっているようで、対立候補だったフォンセカ氏のオフィスに押し入って13人を逮捕したりといった話が頻発している模様。当局は、BBCのインタビューに対し、失踪したジャーナリストは緊急事態の命令下で拘束されていると答えたとのこと。スリランカのメディアグループ等は、政府による弾圧を非難しています。

もともと、スリランカでは、内戦が続いていたということもあって、政府に批判的なジャーナリストを弾圧するということが頻繁に起きていました。上記の記事の件も、そのひとつだと考えることができます。内戦の終了により当座の危機を乗り越えたと思われるスリランカですが、本当の平和を手に入れるまでには、まだまだ時間がかかるのかもしれません。

2010年1月28日木曜日

オゾンホールの縮小が温暖化を加速

オゾンホールと言えば、かつて、地球環境危機の最も大きなエピソードのひとつとして大きく取り上げられていました。その主因とされるフロンガスは、その後、世界的に使用を抑制/禁止されることになりました。それが功を奏したのか、オゾンホールは縮小していく方向にあるようで、今世紀中にはオゾンホールは閉じるのではないかと予想されているようです。

しかし、最近、オゾンホールの縮小が地球温暖化を加速させる影響があるのではないかという研究レポートの記事を目にしました。

[Science Daily]Ozone hole healing could cause further climate warming

上記の記事によると、オゾンホールの影響によって南極付近の雲が太陽光を強く反射しているようで、オゾンホールが縮小/消失すれば、この効果は失われるだろうとのこと。結果として、地球温暖化が進むと予想しています。なんだか、じゃあどうしたらよかったんだと思ってしまう内容ですが、それだけ地球環境というものは相互関係が入り組んだ複雑なものだということなのでしょう。

ところで、そもそも私は、上記の記事を見るまでオゾンホールが縮小していく方向にあるということを知りませんでした。大きく騒がれていたころの印象が強いため、今でもどんどん大きくなっていっているものだと漠然と思っていたので、縮小する方向にあるということの方が大きな驚きでした。世界の協力により地球環境の悪化を止めうるという良い事例と考えていいのかもしれません。

2010年1月26日火曜日

アメリカの財政赤字は1兆3500億ドルになると予想された

不況時においては、金融政策と財政政策が打ち出されることになります。日本の失われた数十年においてそうだったように、今、アメリカをはじめとする世界各国が、不況への対策として大規模な金融政策と財政政策を実行しています。

これはもちろん正しい政策だと思うのですが、とはいえ、私のような小市民にとっては、積み上がっていく政府の負債を見ると、本当に大丈夫なんかなと感じてしまいます。

そんな政府の負債に関連し、2010年はアメリカの財政赤字が1兆3500億ドルにものぼるだろうという見積もりがアメリカ議会より出たとのニュースが流れました。

[BBC News] US deficit 'set to hit $1.35tn'

ちなみに、上記の記事によれば、2009年の財政赤字は第二次世界大戦以来最大となる1兆4000億ドルだったそうです。2008年は4950億ドルだったそうなので、短期間で一気に大規模な財政出動を行ったということでしょう。これは、too small too lateと言われ続けた日本の対応と現状とを教訓としたものかもしれません。

しかしそれにしても、学問的・理論的にはともかく、素人感覚としては相当怖いものがあります。アメリカでも、財政赤字の拡大に対して、保守層を中心に反対意見がかなり出ているようです。もちろん、今の段階で景気対策のブレーキを踏むようなことがあればそこで終わりになってしまいそうなので、もう突っ走るしかないでしょう。我々は、後世の人たちが興味を持って調べるような激動の時代の目撃者となろうとしているのかもしれません。

2010年1月22日金曜日

プロテインのサプリメントは広く誤用されている

「プロテイン」とは本来「タンパク質」という意味ですが、日本で「プロテイン」と言うと、タンパク質を主成分とするサプリメントのことを指すことが多いと思われます。プロテイン(サプリメント)の摂取は、筋トレ後の筋肉増強等に良いとされ、スポーツをする方の中には愛飲されている方も少なくありません。そんなプロテイン(サプリメント)ですが、ちょっと誤用されすぎているんじゃないかという研究結果が出ました。

[Science Daily] Protein supplements are misused by athletes

上記の記事によれば、多くのアスリートはプロテイン(サプリメント)摂取に関する正確な知識に乏しく、食事内容を調べてみるとプロテイン(サプリメント)の摂取の必要性がない人(食事により十分な栄養を得ている人)の割合は8割ほどにものぼったとのこと。プロテイン(サプリメント)の摂取をやめてみても悪影響を感じなかった人は過半数にのぼるなど、プロテイン(サプリメント)はいろいろと過大評価されているんじゃないかと思われる結果が出ています。記事中の結論として、プロテイン(サプリメント)には表示されていない成分が入っていたり、特定の栄養素を過剰に摂取しすぎてしまうなど、むやみに摂取すると問題に見舞われる可能性があると指摘しています。

確かに、プロテイン(サプリメント)に限らず、サプリメントは特定の成分を集中的に摂取することになるので、うっかりすると過剰な摂取をしてしまい、健康被害を被る可能性があります。なにごとであれ、正しい知識を持って実行するのが重要ということなのでしょう。

2010年1月20日水曜日

アフガニスタンにおける大規模な汚職

混乱の続くアフガニスタンの中で、膨大な汚職がはびこっているとの報告が国連機関より出されました。

[BBC News] UN Afghanistan survey points to huge scale of bribery

報告によれば、アフガニスタンの人々はこの1年間で25億ドルものお金を賄賂として支払ったと推定されるとのこと。この額は、アフガニスタンの正規のGDPの四分の一にものぼるそうです。賄賂の対象としては、警察や地元の政府組織で、事実上、アフガニスタンでは賄賂なしに公共サービスを受けることが困難であると予想されます。

もちろん、我々から見れば「賄賂」であっても、その国の文化においては当たり前の「習慣」であるという可能性があり、上記の記事の中でも、少なくとも3人にひとりはこれが当たり前であると認識していると書かれています。ただ、そうは言っても、これだけ膨大な額になると「習慣」で全て片づけてしまうのも難しいものがあり、アフガニスタンの現状を考えると、それが海外からの援助や国の立て直しに大きな悪影響を与えるだろうと推測されます。

アメリカの強いコミットが続くアフガニスタンですが、その復興までには膨大な時間と労力が必要ではないかと思われます。

2010年1月18日月曜日

幼少期に住んでいた地域が後々の読解能力を大きく左右

三つ子の魂百までということわざがありますが、小さい頃の経験は後々まで大きな影響を与えると考えられています。そのような考えを補強するような研究レポートが、またひとつ発表されました。

Disadvantaged Neighborhoods Set Children's Reading Skills on Negative Course

幼少期(幼稚園の頃)に過ごした地域によって、その後の読解能力が大きく左右されるという研究結果が出たようです。特筆すべきは、幼少期以降に別の地域に引っ越したとしても、その影響はなくならないということ。つまり、実際に読み書き能力を大きく獲得し鍛え上げる時期よりも、それ以前の未だ未発達な時期の方が大きな影響を与えているんじゃないか、ということです。

上記の記事のタイトルでも分かるように、ここでいう「影響」というのは、残念ながら、地域の貧困等による「悪影響」のことを主に指しています。地域格差による負の影響というものが、またひとつ明らかになったということでしょう。これは、格差社会の到来と地方公共団体の財政の厳しさを頻繁に指摘されるようになった日本においても、対岸の火事というわけにはいかないと思われます。記事でも最後に指摘されているとおり、子供の読解能力については、両親だけでなく地方政治も大きな責任を担っているのです。

2010年1月14日木曜日

イスラエルがトルコの大使への無礼な振る舞いについて謝罪

中東の国、イスラエルとトルコの間で、最近、少し大きなもめごとが発生していました。発端は、トルコのテレビ番組に対してイスラエル側がクレームをつけたことです。イスラエルはトルコ大使を呼び出してクレームを伝えたのですが、この際、トルコ大使を低い椅子に座らせました。この時の写真が広まると、トルコの人々から大きな批判が巻き起こり、最終的に、イスラエルから謝罪がない場合はトルコ大使呼びもどすという話すら出てくるようになりました。

そして今日、トルコとの関係に配慮したイスラエルが、この件についてトルコに謝罪したとのニュースが出ました。

[BBC News] Israel apologises to Turkey over snub

そもそも、この話がここまで大ごとになる背景には、トルコとイスラエルとの関係がぎくしゃくしだしていることがあると思われます。トルコはこのところ、中東での役割を果たすべく中東各国と結びつきを強めています。一方、イスラエルは、去年のガザ攻撃から国際的に非難される傾向にあり、また、イランの核開発問題に対してかなり憂慮しています。周囲が全て敵とも言える状況のイスラエルは、周辺事態の変化に対してかなりピリピリしているように見えます。その結果、イスラエルの政治家の一部が、国内向けにかなり勇ましい発言をしたりもしており、これがさらにトルコの反発を招いています。

とはいえ、イスラエルとしても、現状でトルコとの関係をさらに悪化させることは得策ではないと考えているようで、イスラエルの国防大臣が、近々、トルコを訪問する予定のようです。これである程度、二国間の関係が改善されることを望みます。イスラエルがあまり追い詰められてしまうと、イランを含む周辺国に対してさらなる強硬策に出る可能性が考えられますので。

2010年1月13日水曜日

大統領に殺されるとの言葉を残して射殺された弁護士の死は自作自演だった?

中央アメリカにあるグアテマラは、独立以来なにかと内紛のある国で、現代になっても、1960年代から始まった内戦がなんと1996年まで続いていました。このような状況もあり、グアテマラは現在も、治安の悪さ、貧困、貧富の格差、汚職といった問題に苦しんでいます。

昨年、そのグアテマラで、大きなスキャンダルが発生しました。何者かに射殺された弁護士が、射殺される前に「私は大統領とその側近に殺されるだろう」と訴えるビデオが現れたのです。

この弁護士の死後しばらくして、「大統領に殺される」と訴えるこのビデオが出回り、グアテマラでは大きな混乱が発生しました。いかに治安が悪く汚職がはびこっているとはいえ、選挙で選ばれた大統領が殺人に関わっているという疑惑が持ち上がるというのは大ごとでした。大統領の反対派は責任を取って辞任すべきと大統領に迫りました。そして、大統領の反対派と擁護派のそれぞれが大規模なデモを繰り返す事態に陥ったのです。

大統領はこの疑惑を完全否認し、FBIや国連機関に全面的な捜査を要請するとしました。そして最近、国連機関による捜査結果が公表されました。それによると、なんとこの弁護士は、自分で殺し屋を雇って自分自身を殺させたというのです。

[BBC News] Guatemala President Alvaro Colom cleared over murder

報告によれば、弁護士は、親族を経由して殺し屋に連絡を取り、自らを殺させたそうです。ただし、この親族は、殺害対象が弁護士自身であったことは全く知らなかったとのこと。事実だとすると、なんだか推理物のドラマやアニメにありそうな手口ですが、現実に起こったと思うと怖いものがあります。

気になる動機ですが、記事を読む限りではちょっとよく分かりません。大統領は、弁護士に捜査の手が伸びていたために取った行動ではないかとの推測を話していますが、本人が死んでしまった以上、本当のところは分からないのかもしれません。グアテマラを揺るがしたこの問題、これにより決着となるのでしょうか。

2010年1月12日火曜日

中国では結婚適齢期の男性2400万人以上が独身のままと予想される

中国では、いわゆるひとりっ子政策が続いてます。そして、文化的要因によって男子が好まれるため、男子と女子の出生比率を見ると、自然な状態と比べてはるかに男子の方が比率が高くなっています。そしてどうやら、その結果として、大規模な「結婚難」が生じているようです。

[BBC News] China faces growing gender imbalance

通常の男女の出生比率は女子100人に対して男子が103~107人程度らしいですが、統計によれば、中国では119人程度となっており、地域によってはなんと男子130人という比率になっているところもあるようです。もちろん、女子が生まれたことを隠している(出生届を出していない)ために統計に含まれていないという部分もあるでしょうが、おそらくその多くは、妊娠時の性の選択によるものと思われます。

この男女の出生差により、大規模な嫁不足が発生し続けるとみられています。上記の記事によれば、「農村部で40才以上の独身男性」が結婚できる可能性はほぼないと述べられています。まぁ、この条件だと日本でも似たような状況ではないかと思いますが、それはともかく、配偶者を得られない結婚適齢期の男性は2010年までに2400万人にのぼるだろうとのこと。農村部は都市部と比べると貧しいので、それらの男性の多くは、年齢を重ねると、家族によるサポートが満足に得られないため、公的サポートを頼ることになると予期されています。

あれだけの人口を抱えている国なので何らかの人口抑制策が必要でしょうが、なかなかその痛みは激しいようです。経済成長の恩恵が農村部に行き渡ることで、自然と出生率が下がっていけば良いのですが。

2010年1月11日月曜日

岐路に立つ携帯メーカーのノキア

かつて、日本の携帯電話は、世界市場への進出と牽引を期待されていました。しかし、いつのまにか、そうした期待の声が聞こえてくることはまれになってしまいました。一般的には、「日本の携帯は、日本市場でのマーケティングと販売を重視するあまり日本国内の要望に特化しすぎてしまい(ガラパゴス化)、世界でシェアを取れるものではなくなってしまった」と説明されることが多いようです。加えて、プレーヤーが多すぎて規模と効率の面で海外プレーヤーに太刀打ちできなくなったという指摘もあります。そのような話題の中で、世界を意識して成功した携帯電話のプレーヤーとして引き合いに出されることが多かったのが、フィンランドの通信機器メーカーであるノキアです。

ノキアは、世界の携帯電話市場にうまく適合し、携帯電話部門において非常に大きなシェアを有するに至りました。しかし、そのノキアが今、重大な岐路に立たされているとの記事が出ました。

[Economist] Bears at the door

記事によれば、スマートフォンの発展がノキアの未来に脅威を与えつつあるとのことです。ノキアは今、スマートフォンの分野でも世界一のシェアと売り上げを有していますが、しかしながら、iPhoneと比べるとその利益率は決して高くないそうです。携帯電話市場は、スマートフォンの発展により、ハードからソフト/サービスの分野により重点が置かれるようになっており、そのような市場環境の変化が、ノキアがこれまで成功してきた手法を時代に合わなくさせつつあるとのこと。

もちろん、ノキアも手をこまねいているだけではなく、さまざまな対策を講じています。それらの対策は今のところ大きな利益には直接結び付いていないようですが、将来的にプラスに働くだろうことは大いに期待されます。これまでノキアは何度かあった大きな危機を乗り越えてきました。今回も、乗り越えられるかもしれません。とりわけ、ノキアが大きなシェアと影響力をもつインドなどの発展途上国においては、十分な発展の余力があるでしょう。

ただ、記事は、ノキアが改善していくだろうことは予想しているものの、再び技術と利益の面で携帯電話市場のリーダーシップを取れるかというとそう簡単ではないと述べています。20年以上前にハードからソフトへという市場の変化の波を受けたコンピュータ業界では、結局その波に乗れたのはIBMだけだったと。

ノキアがどうなっていくかは私にはまったくわかりませんが、Google Nexus One の登場もあって、携帯電話市場が盛り上がっているのは感じます。世界の携帯電話市場は、また、新たなフェーズへと突入しつつあるのでしょう。それが私たちの生活をどれほど便利にしてくれるのかと期待せずにはいられません。

2010年1月10日日曜日

母乳のメリットは強調されすぎているかもしれない

母乳は、乳児の成長にとってよいものとされています。母親と子供の双方の健康にとって有益で、それは、授乳後にも影響を与えると言われています。なので、「可能であるならば、乳児は母乳で育てた方がいい」とは、子育ての現場でよく耳にする忠告ではないでしょうか。数年前に初めて父親となった私も、そのようなアドバイスを妻が受けるのを何度も耳にしました。

しかし、そのような母乳のメリットは、過大評価されすぎているかもしれないということを示唆する研究結果が記事になっていました。

[BBC News] Hormones 'govern ability to breastfeed'

母親の母乳が出るかどうかは子宮のホルモンバランスと強い相関があり、母乳で育つ子供の健康面での強さは、母乳そのものではなくこのホルモンの影響によるのではないかとのことです。つまり、ものすごくざっくり言えば、丈夫な子供を授かったら母乳が出やすいということであって、母乳を与えるから健康に育っているわけではないのでは、という話のようです。

180人の母子を調査し、また、既存の約50の研究を再評価した結果このような結論に至ったということで、それなりに信ぴょう性があるのではと感じます。まぁ、もちろん、私は全くの素人ですので、この分野における研究のサンプル数として、この数がどの程度のものなのかはよく分かりません。したがって、「それなりに信憑性がある」というのは完全に印象論なんですが。

記事中に出てくるノルウェーの研究者は、「母乳が与えられなかったとしても、母親が自分を責める必要はない」と言っています。母乳そのもののメリットは限定的だというこの仮説にどの程度の妥当性があるかはさらなる研究が必要なのでしょうが、研究者のこの言葉には強く共感します。子育てに関する助言って、あまりにも色々あって、正直なところ、いちいちそんな話を聞いていられなくなりますし、もしその結果として自分を追い詰めてしまう親がいたら、それは不幸なことだと思います。

いや、ほんと、子育てって大変ですよね。どうすればいいのかと未だに悩む日々ですが、正解なんて無いし、仮に正解だと言われていることがあっても十年後には不正解と言われているかもしれないと考えて、自分たちを信じるしかないと思います。

2010年1月9日土曜日

ナイジェリア大統領の署名への偽造疑惑

アメリカに再びテロの恐怖を思い出させた容疑者はナイジェリア出身でしたが、ナイジェリア自体はそれほど日本での認知度は高くないように思います。身の回りでは、サッカーとかそのあたりで話題になることが一番多いですが、国家としてのナイジェリアはアフリカの地域大国と言っていい国でしょう。そのナイジェリアが、今、権力の空白という危機に直面しているようです。

[BBC News] Nigeria President Yar'Adua budget signature 'forged'

上記のニュースは、予算書にあるナイジェリア大統領のサインが偽造された疑いがあると野党側が追及していることを述べた記事です。なぜそんな話になっているのかというと、現在のナイジェリアの大統領であるヤラドゥア大統領は、数年来、健康上の問題を抱えていると言われているのですが、ついに昨年の11月に療養のためサウジアラビアに行ったきり本国に帰ってきていないのです。これにより、ナイジェリアは、権力の空白に対する不安が日増しに高まっています。

一応、与党側からは、電話で副大統領や側近たちと連絡をしているといった話が出てきているのですが、この状況だとそれがどの程度確からしいのか、また、どれくらいまともな対話になっているのか、傍からはよくわからない。そんなわけで野党側は、実質的に大統領はその職務を遂行できなくなっているとして、グッドラック・ジョナサン副大統領(関係ないけど、すごい名前だ…)に権限を譲れといった主張をしています。まぁ、この状況であれば当然の主張ではないかとは思います。

いずれにせよ、権力に空白ができることは好ましいことではないでしょう。事態がどんどんこじれていく前に、なんとか良い形におさまってほしいと、遠い日本から思いました。

2010年1月8日金曜日

家電業界の救世主と宣伝されている3Dテレビ

今、ラスベガスでCES(International Consumer Electronics Show)という家電関連の展示会が開かれているのですが、そこで主要な家電メーカーは、3Dテレビを今年以降の大きな商材としてアピールしているそうです。ニュース記事では、「救世主」とまで言っているようです。

[BBC] 3D TV is being billed as possible industry saviour

3Dというと、私個人は、たまに業務用ゲーム筐体等で採用されるけれども、プレイを見ている周囲の人間には面白さが伝わらず、そうこうしているうちに消えてしまうというイメージがあって、基本的なアイデアは昔からあるものの何らかのイノベーション(眼鏡をかけなくても楽に立体が見えるとか)がないと商業ベースでは難しいのかなと思っていました。しかし、最近の3D映画アバターの商業的な大成功をみると、それなりにコンテンツがそろってくれば一般家庭向けの商業ベースでも成功するのかもしれないと思えてきます。事実、上記のニュースを読む限りでは、各メーカーも関係企業と協力していろいろなコンテンツを供給することで3Dテレビの販売拡大につなげようと考えているようです。

ただ、そうは言っても、3Dテレビが大きく普及するためにはかなりの困難がありそうです。テレビの買い替え需要が一巡したという見方もあるでしょうし、大規模な金融・財政出動により一時の危機を脱したとはいえまだまだ不安が続くこの不況下において、果たして3Dテレビにそれだけの消費が向けられるのかという疑問もあります。

先のことはよくわかりませんが、もし、今年以降に3Dテレビが大きく普及することになったら、後の時代から、映画アバターはその大きな印であったとの評価を受けるでしょう。まぁ、まだ私は見てないんですが。