2010年1月11日月曜日

岐路に立つ携帯メーカーのノキア

かつて、日本の携帯電話は、世界市場への進出と牽引を期待されていました。しかし、いつのまにか、そうした期待の声が聞こえてくることはまれになってしまいました。一般的には、「日本の携帯は、日本市場でのマーケティングと販売を重視するあまり日本国内の要望に特化しすぎてしまい(ガラパゴス化)、世界でシェアを取れるものではなくなってしまった」と説明されることが多いようです。加えて、プレーヤーが多すぎて規模と効率の面で海外プレーヤーに太刀打ちできなくなったという指摘もあります。そのような話題の中で、世界を意識して成功した携帯電話のプレーヤーとして引き合いに出されることが多かったのが、フィンランドの通信機器メーカーであるノキアです。

ノキアは、世界の携帯電話市場にうまく適合し、携帯電話部門において非常に大きなシェアを有するに至りました。しかし、そのノキアが今、重大な岐路に立たされているとの記事が出ました。

[Economist] Bears at the door

記事によれば、スマートフォンの発展がノキアの未来に脅威を与えつつあるとのことです。ノキアは今、スマートフォンの分野でも世界一のシェアと売り上げを有していますが、しかしながら、iPhoneと比べるとその利益率は決して高くないそうです。携帯電話市場は、スマートフォンの発展により、ハードからソフト/サービスの分野により重点が置かれるようになっており、そのような市場環境の変化が、ノキアがこれまで成功してきた手法を時代に合わなくさせつつあるとのこと。

もちろん、ノキアも手をこまねいているだけではなく、さまざまな対策を講じています。それらの対策は今のところ大きな利益には直接結び付いていないようですが、将来的にプラスに働くだろうことは大いに期待されます。これまでノキアは何度かあった大きな危機を乗り越えてきました。今回も、乗り越えられるかもしれません。とりわけ、ノキアが大きなシェアと影響力をもつインドなどの発展途上国においては、十分な発展の余力があるでしょう。

ただ、記事は、ノキアが改善していくだろうことは予想しているものの、再び技術と利益の面で携帯電話市場のリーダーシップを取れるかというとそう簡単ではないと述べています。20年以上前にハードからソフトへという市場の変化の波を受けたコンピュータ業界では、結局その波に乗れたのはIBMだけだったと。

ノキアがどうなっていくかは私にはまったくわかりませんが、Google Nexus One の登場もあって、携帯電話市場が盛り上がっているのは感じます。世界の携帯電話市場は、また、新たなフェーズへと突入しつつあるのでしょう。それが私たちの生活をどれほど便利にしてくれるのかと期待せずにはいられません。

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