2010年2月12日金曜日

ナイジェリア副大統領がついに大統領代行に

数年来の健康問題を抱えていたナイジェリアのヤラドゥア大統領は、昨年11月についに倒れてしまい、治療のためにサウジアラビアに運ばれたっきりそのままずっと帰って来ていません。長期にわたる大統領不在により権力の空白が生まれてしまい、ナイジェリアはかなり混乱していました。

野党勢力らを中心に副大統領のグッドラック・ジョナサン氏(何度聞いてもすごい名前だ)に権限を譲れという主張が出てきていましたが、グッドラック・ジョナサンをはじめとする内閣は、長らくこの主張を採用しませんでした。しかし、ここにきてついに、グッドラック・ジョナサン副大統領が大統領代行としての任につくことになった模様です。

これについて、さまざまな報道機関から各種報道がなされています。Economistのオンラインサイトでも、まとまった記事が出ました。(タイトルが副大統領の名前とかけてありますね。やっぱり、すごい名前なんですね。)

Good luck, Jonathan

大統領代行となったグッドラック・ジョナサン氏ですが、上記の記事によれば、なかなかに多くの課題を抱えているようです。

まず、そもそもこうした事態に前例がなく、法的にどこまでの正当性があるのかがはっきりしないという面があるようです。加えて、ナイジェリアは南北で大きく社会が分断されており、南北双方から順に大統領を出してきた経緯から、果たして次に控える大統領選挙はどうなるのかという疑念があります。さらに、個別の政治問題も発生しています。記事中では、ナイジェリア南部の武装勢力が昨年に出していた停戦宣言を破棄したという話も紹介されています。

いずれにせよ、このアフリカの地域大国は、大きな憂いを抱えた巨人であるようです。困難な舵取りになりそうですが、グッドラック・ジョナサン大統領代行の政治手腕が優れていることを期待しましょう。

2010年2月10日水曜日

強権を強めるスリランカ大統領

先月下旬の大統領選挙後、対立候補サイドへあからさまな圧力を加え続けているスリランカのラジャパクサ大統領ですが、ついに、対立候補だったフォンセカ氏を逮捕してしまいました。そして、この勢いのまま、議会でも圧倒的多数を取ろうと目論んでいるようです。

Sri Lanka President Rajapaksa dissolves parliament

上記の記事によれば、早期の議会選挙を求めるラジャパクサ大統領によりすでに議会は解散され、規定に基づき4月頭に議会選挙が行われる見通しとのことです。

なお、先日逮捕されたフォンセカ氏は今も拘束されており、妻のアノマ女史は「逮捕以来、夫とは会わせてもらえない」と述べています。しかし一方、それについて聞かれた軍当局の担当者は、フォンセカ氏は家族との面会も許可されているし法的援助も受けることができると答えています。まぁ、いくらそう言われても、事の経緯を考えればちょっと信じられません。

なかなかハードな状況が続いているようですが、対抗する野党勢力もいまいち力を結集するということができていないようで、国全体としては、ラジャパクサ大統領支持という形で進んでいく模様。世界全体を見渡すとこういう国は五万とあるといえばその通りですが、とはいえ、こうやって具体的な状況の記事を目にすると、嘆息せざるをえません。

2010年2月3日水曜日

コンコルド墜落事故に関する初の裁判がフランスで始まる

2000年7月、超音速旅客機コンコルドが離陸直後に炎上しそのまま墜落、乗員と乗客の109名に加え、墜落場所にいて巻き添えになった4名を合わせた113名もの死者を出す大惨事が起きました。当時、事故のニュースは世界中に流れ、大きな関心を呼びました。

そして最近、この事故に関する裁判がフランスで始まるとのニュースが流れました。

Concorde crash manslaughter trial begins in France

あれからもう10年近くもたったのですね。事故発生当初は、事故原因についていろいろな憶測が飛び交い、コンコルドの安全性に対する疑念の声も上がったりしたのですが、その後の調査でおおよそ原因が明らかになりました。

公式な調査結果によれば、墜落したコンコルドと同じ滑走路から直前に飛び立ったコンチネンタル社のD-10の機体から、43cmほどの長さの金属片(棒?)が剥がれ落ちたのがそもそもの発端とのこと。それに気づかないままコンコルドは離陸しようとし、運悪くその金属片を踏んでしまってタイヤが破裂、その破片が燃料タンクを直撃して破損し引火、この悲劇に繋がったと結論付けました。そうだとすると、事故の主因はコンコルドではなくコンチネンタル社のD-10ということになります。

この墜落事故により(少なくとも事故直後は)コンコルドの安全性に疑念が持たれてしまいました。もともと採算が悪かったのに加え、その後に起きた911同時多発テロによる国際的な航空不況も重なり、世界唯一の超音速旅客機コンコルドは2003年にその運航を停止してしまいます。

上記の記事によれば、今回の裁判では、コンチネンタル社の整備エンジニア2人に加え、コンコルドの元技術責任者2人と航空局のスタッフが過失致死の罪に問われているそうです。ちなみに、コンチネンタル社は破片を踏んでタイヤが破裂したのが原因という見方を否定しており、タイヤの破裂の前に既に燃料タンクから火が上がっていたと主張しているとのこと。また、コンチネンタル社のエンジニアを含めて全員が罪を否認しているので、裁判は激しいものになるかもしれません。なお、遺族の大半とは示談が成立しているようで、裁判に出席する遺族は一部に限られるようです。

いずれにせよ、100名以上の死者を出す悲劇となったこの事故について、亡くなられた方のご冥福をあらためてお祈りするとともに、さらに真実が明らかにされることを望みます。

2010年2月1日月曜日

行方不明のスリランカのジャーナリストの妻が夫の解放を訴える

先月末に大統領選が行われ、現職大統領のラジャパクサ氏の続投が決まったスリランカですが、その陰で、きな臭い話がもろもろありました。

1週間ほど前、ウェブサイト lankaenews.com で対立候補のフォンセカ氏を擁護する記事を書いていたジャーナリストが、謎の失踪をとげました。土曜日の朝に家を離れた後、夕方頃に同僚に電話をしたのを最後に行方が分からなくなったようです。その電話は、突然切れたと言われています。

そのジャーナリストの妻が、夫の解放を訴えているという記事がでました。

[BBC News] Wife pleads for missing Sri Lanka journalist

上記の記事によれば、スリランカ政府は、大統領選後にかなり強硬な態度をとっているようで、対立候補だったフォンセカ氏のオフィスに押し入って13人を逮捕したりといった話が頻発している模様。当局は、BBCのインタビューに対し、失踪したジャーナリストは緊急事態の命令下で拘束されていると答えたとのこと。スリランカのメディアグループ等は、政府による弾圧を非難しています。

もともと、スリランカでは、内戦が続いていたということもあって、政府に批判的なジャーナリストを弾圧するということが頻繁に起きていました。上記の記事の件も、そのひとつだと考えることができます。内戦の終了により当座の危機を乗り越えたと思われるスリランカですが、本当の平和を手に入れるまでには、まだまだ時間がかかるのかもしれません。